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エンド・オブ・ライフケアとしての拘縮対策  美しい姿で最期を迎えていただくために

電子版あり

定価:3,520円(本体3,200円+税)

商品コード: ISBN978-4-89590-492-6

A5 / 192頁 / 2014年
【編著】
福田卓民 (青梅慶友病院)
沖田 実 (長崎大学大学院)
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内容紹介

拘縮の基礎知識と、看護・介護・リハ専門職が実現させた拘縮対策のすべて

・なぜ障害高齢者に対して拘縮対策が必要か?
・拘縮の発生要因やメカニズムとは?
・拘縮に対するリハのエビデンスとは?
・障害高齢者の拘縮の保有率は?
・700名を超える入院患者に対して実現させた拘縮対策の方法は?
・対策にかかわる看護・介護・リハ、それぞれの専門職の認識をどのように統一したのか?

拘縮に対する具体的な対策法や介入効果を検討した臨床研究が少ない中、障害高齢者の抱える拘縮の具体的な臨床像を豊富な関節可動域のデータとともに示した書は他に類をみない。

最新の拘縮の基礎研究に裏打ちされた、拘縮対策の新機軸となる1冊。

書評

拘縮を真正面から取り上げて実態を明らかにし,戦略や課題を読者に訴える
評者:守口恭子(健康科学大学,作業療法士)

 さわやかな新緑の広葉樹林の中を風が渡る.すがすがしい表紙に「エンド・オブ・ライフケア」の文字が目に飛び込んでくる.「美しい姿で最期を迎えていただくために」というショッキングな副題.この本は,表紙のような林に囲まれたエンド・オブ・ライフケアを専門とする青梅慶友病院で,人間の尊厳を守り抜くために日々拘縮対策に取り組む福田卓民氏を代表とするリハ室のスタッフと,拘縮の基礎研究をする沖田 実氏のコラボレーションを実現させた稀有の書ともいえる.瀟洒な装丁に比して中身はずっしりと重く,われわれは何をすべきか原点に立ち帰らせる.

 寝たきりになったり,食事をしなくなった高齢者にあっという間に拘縮ができる体験を,終末期にかかわるリハ職種なら誰もがもっている.拘縮は永遠の課題で,避けて通れないものだが,私たちは結局なすすべがないと感じている.本書はそれを真正面から取り上げて実態を明らかにし,戦略や課題を読者に訴える.

 まず第Ⅰ章では,拘縮対策は単に関節可動域の問題ではなく,人生の最終ステージを左右する重要な課題であるとする.拘縮は予防が重要で,解決のためには具体的な実践を継続し,その結果の検証を繰り返すことだと述べる.第Ⅱ章は拘縮に関する基礎研究の専門家である沖田 実氏〔『関節可動域制限―病態の理解と治療の考え方』(三輪書店刊)の編著者〕が,拘縮の発生・促進因子,発生メカニズムについて概説する.第Ⅲ章の入院患者のデータは圧巻である.入院患者1,342名を5年間,入院時から2カ月ごとに可動域を測定し経時的変化をみた.対象とした関節は,肩関節外転,肘関節伸展,膝関節伸展,足関節背屈(経時的変化は1年後のみ)である.有意差を示す図表,写真……驚くばかりである.また,発生頻度の高い拘縮を写真で解説し,障害高齢者における拘縮の特徴を述べる.第Ⅳ章は治療戦略である.エビデンスを述べ,リハの治療戦略,看護・介護の治療戦略と続く.第Ⅴ章は当院の拘縮対策の取り組みがありのままに述べられ,現実的で何より参考になる.拘縮を焦点化したり,方法や手順の統一をしなければ,チームアプローチはできない.「美しい姿で最期を迎えていただく」という本書の副題は,スタッフの意識を統一するための目的の言語化であるという.そして,チームアプローチのプログラムとして,おむつ交換のとき,食事前におしぼりで手を拭くとき,車いすに移乗したとき等,6つのケア場面に他動運動としての一行為を組み込んである.まさしくチームアプローチである.そして最後に,拘縮対策はQOLを保つことであり,皮膚や身なりの清潔を保つこと,生活の活動性を保つこと,と静かに提案する.たとえば,そのために車いすに座る,ベッド上で上体を起こす等,身体への負荷を考慮する.つまり,ケアやリハのかかわりはそのほとんどが拘縮対策に結びつく.これらの提案は,いったい何をすればいいのだろうと不安になるリハ職種を,「やっぱりそうか!」と納得させ,勇気を鼓舞する結論である.ただし容易なことではない.それにはリハがチームから信頼され,病院の生活全体がチームによって活性化されなければ実現しないからだ.

 拘縮対策に取り組みながらデータを取り続けた熱意に心から敬意を表し,貴重なデータが語るものを読み尽くそう.拘縮に向き合おう.多くの人に読んでほしい書である.

「作業療法ジャーナル」第49巻第3号 2015年(三輪書店)より転載

目次

第Ⅰ章 エンド・オブ・ライフケアとしての拘縮対策
1 エンド・オブ・ライフケア(end of life care)とは
1.1 「エンド・オブ・ライフケア」の概念
1.2 わが国におけるエンド・オブ・ライフケアの対象

2 エンド・オブ・ライフケアとしてのリハビリテーション
2.1 エンド・オブ・ライフケアとリハビリテーション
2.2 エンド・オブ・ライフケアとしてのリハビリテーションの目的と意義

3 エンド・オブ・ライフケアとしての拘縮対策の目的と意義
3.1 エンド・オブ・ライフケアの対象者にとっての拘縮
3.2 エンド・オブ・ライフケアとしての拘縮対策の目的と意義

第Ⅱ章 拘縮とは
1 拘縮の定義ならびに分類
1.1 拘縮の定義
1.2 拘縮の分類

2 拘縮の発生・促進因子
2.1 関節の不動という共通の問題
2.2 年齢の影響
2.3 罹病期間の影響
2.4 ADL能力の影響
2.5 麻痺ならびに痙縮の影響
2.6 痛みの影響
2.7 浮腫の影響
2.8 非障害側への影響

3 拘縮の発生メカニズム
3.1 拘縮の発生・進行状況
3.2 不動期間の延長に伴う拘縮の責任病巣の推移
3.3 骨格筋の変化に基づく拘縮の発生メカニズム
3.4 関節包の変化に基づく拘縮の発生メカニズム
3.5 皮膚の変化に基づく拘縮の発生メカニズム

第Ⅲ章 拘縮の実態
1 臨床における拘縮の発生状況
1.1 対象者と対象関節
1.2 人生の最終ステージにおける拘縮の発生状況
1.3 継時的変化に影響を及ぼす要因
1.4 一般的なリハビリテーションの対象者との比較

2 エンド・オブ・ライフケアの臨床において発生頻度の高い拘縮
2.1 重篤化した拘縮の特徴
2.2 肩関節
2.3 肘関節
2.4 手関節
2.5 手指
2.6 股関節
2.7 膝関節
2.8 足関節,足指
2.9 頚部,顎関節

3 障害高齢者における拘縮の特徴
3.1 特徴的な症状
3.2 併発することが多い症状
3.3 他の身体機能に与える影響
3.4 生活に与える影響

第Ⅳ章 拘縮に対する治療戦略
1 リハビリテーションの治療戦略
1.1 拘縮に対するリハビリテーションのエビデンス
1.2 拘縮に対する運動療法の再考
1.3 拘縮に対するリハビリテーションの実際

2 看護・介護の治療戦略
2.1 “動く”を支える看護・介護職
2.2 拘縮対策は“治療”ではなく“基本的ケア”
2.3 組織全体で取り組むことの重要性
2.4 拘縮対策としてのケアを可視化する重要性
2.5 日々のケアがエンド・オブ・ライフケア
2.6 拘縮対策におけるケアの留意点
2.7 多職種で生前のケアをし尽くすこと

第Ⅴ章 拘縮に対するチームアプローチ
1 エンド・オブ・ライフケアを担う施設における拘縮対策の現実的な問題とその対策
1.1 拘縮対策の現状
1.2 青梅慶友病院の概要
1.3 青梅慶友病院における拘縮対策の必要性
1.4 取り組み開始時の混乱と問題点
1.5 具体的な改善策

2 青梅慶友病院における拘縮対策の取り組み
2.1 QOLを保つための拘縮対策
2.2 チームアプローチとしての拘縮対策
2.3 効果検証

第Ⅵ章 拘縮対策の今後の課題と展望
1 研究における今後の課題と展望
1.1 リハビリテーション領域における研究とは
1.2 拘縮研究の現状と課題
1.3 拘縮研究の今後の展望

2 臨床における今後の課題と展望
2.1 エンド・オブ・ライフの時期にある障害高齢者の拘縮の実像
2.2 青梅慶友病院における拘縮対策の限界と課題
2.3 臨床における拘縮対策の課題とその解決方法
2.4 臨床における今後の展望

執筆者一覧

福田卓民 (青梅慶友病院)
沖田 実 (長崎大学大学院)
吉際俊明 (青梅慶友病院,理学療法士)
今枝裕二 (青梅慶友病院,理学療法士)
本田祐一郎 (長崎大学病院,理学療法士)
桑田美代子 (青梅慶友病院,看護師)
山口淳子 (梅慶友病院,作業療法士)
宿野真嗣 (青梅慶友病院,理学療法士)